夢は遠くないところに

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なぜ助けよう

木がなぎ倒され、炎が森を焼いた。ナジブとウェルザに熱風が届く。
 夜空に不気味な光が浮かんでいる。それは赤い炎を纏う精霊で、その両手に火の塊を作り、間髪入れず地面に向かって投げ続けていた。
「ウェルザ!」
 ナジブがその精霊に気を取られていると、ふいにウェルザがその腕からすり抜け森の中に駆け出した。ナジブはその後を追いかけようとするが、炎の塊がナジブの前方に落ち、行く手を阻む。
「ウェルザ!」
 ナジブの声が届いているのか、どうなのか、ウェルザの姿は森の中に消えた。ナジブは炎でその身が傷つくのも構わず、彼女を追いかけるため炎に飛び込んだ。

「このっつ!」
 火の精霊カーナは宙を舞い、その手に炎の塊を作り出し、次々と土の精霊ルガーに向かって放った。
「あぶない!」
「まったくめちゃくちゃだぜ」
 ルガーやルドゥルだけでなく、その周りにいるケンジ達にも無数の炎の塊が投げつけられた兌換港幣。水の精霊アクアは氷の壁を、金の精霊カリンは金の光の壁を作りケンジ達を炎の塊から防いだ。いくつかの炎が壁によって跳ね返され、森に飛び火した。
「森が!」
 木の精霊ディーアは燃えゆく森を悲しげに見たが、どうすることもできなかった。その手には愛しい風の精霊フォンを捕まえている。
「アクア!森の火を消して!」
「金、壁を頼むわよ」
 ケンジの言葉に反応してアクアは森の火を消すために力をためる。その間、カリンは光の壁を拡大しケンジ達を守った。森の火はアクアの水によって消され、ディーアはほっと胸をなでおろした。そして、その腕の中のフォンに語りかけた。
「風……お願い。アナタの力でワタシから逃げて中藥脫髮。アナタの力であれば簡単に逃れられるはずよ」
「オレにはできない。オマエを傷つけたくない」
「風、ワタシなら大丈夫だから。お願い」
 フォンはディーアの言葉に答えなかった。

「チャンスかな」
 ルガーはカーナが放つ無数の炎の塊からルドゥルを守るために、両手で黒い炎の壁を作っていた。
 タカオは風の剣を両手で握ると黒の炎の壁の反対側に回り込み、ルドゥルに向かって振り降ろした。
「ホンエン!」
 ルドゥルは風の嵐を見据え、木の杖を構えて呪文を唱えた。しかし至近距離で作られた風の嵐は木の杖から発せられた炎をもろともせず、ルドゥルを襲う。抵抗できないまま空高く吹き上げられた。そして宙で一度止まり、そのまま風の抵抗を不自然なほど受けないまま、地面に叩きつけられた。
「タカオ。さすがね」
 カーナは嬉しそうに笑い、攻撃を止めた。その隙を見てルガーは森の中のルドゥルが落ちた場所へ飛ぼうとした。
「行かせないわ」
 カーナは火の鞭でルガーの体を拘束した康泰導遊。ルガーは動きの取れる手の平を使い黒い炎を発生させた。
「つっ」
 カーナは炎を避けるために、鞭から手を放した。ルガーは体が自由になると光になり、地面に溶け込むように消えた。
 ディーアは大木の姿から人の姿に戻るとフォンを一瞬悲しげに見た。そして光になるとルドゥルが落ちた方向に飛んだ。
「追うぜ」
「うん」
 カリンはベノイを連れて、アクアはケンジとユリを連れると光になり、その後を追いかけた。

「タカオ、どうする?」
 カーナは頭上からタカオの側に降りてきて、聞いた。
「そうだね……」
 タカオは剣をクルクルと玩びながらフォンに視線を向ける。風の精霊は険しい顔をして、ケンジ達が向かった場所を睨んでいた。
「この機会に僕がすべての精霊を手に入れようかな。手間が省けていいかもね」
 タカオはフォンからカーナに視線を移すとそう答えた。
「それはいい考えだわ」
 カーナは楽しそうに笑うとタカオの腕に自分の腕をからめた。そして空に飛び上がる。
「行くわよ」
 目を細めて精霊達が集まる場所を見極めるとカーナは光になりタカオを包んで消えた。
 フォンは表情を厳しくしたままで宙に浮かぶと光になり、その後を追いかけた。

「!」
 森の中を走っていると、ふいに空から何かが降ってくるのが見えた。それは音を立てて地面に激突した。
「ぐっつ」
 うめき声が聞こえたが、ウェルザは恐る恐るその場所に近づいた。
 魔族が地面の上で血を流して倒れていた。脇腹に木の枝が刺さっている。 
 魔族ーールドゥルはウェルザの姿を見ると自虐的に笑った。
「ふん。管理者の娘か。まだこの辺にいたのか。わしが傷ついているのを見て嬉しいか」
 ルドゥルはウェルザを見つめながら脇腹の木の枝を抜いた。傷口から血が吹き出る。
「!」
 ウェルザは迷いなくルドゥルに近づくと自分の服を破り、傷口に当てた。
「お前は……!」
 ルドゥルは驚いてウェルザを見る。
「わしはお前を殺そうとしたんだぞ。なぜ助けようとする」
「私達人間はあなたの仲間を殺したわ。でもあなたは私を殺さなかった。あなたは悪くない。悪いのは人間なの。ごめんなさい」
 ウェルザは傷口から流れる血を止めるために布を傷口に押し付けながらそう言った。ルドゥルはウェルザの大きな瞳に懐かしさを覚えた。父が人間に襲われる前までルドゥルには人間の友達がいた。それはウェルザのような大きな瞳をもつ少女だった。


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